シークエンシャルオクルージョン1

seiquential functional guidance occlusion imege

榊原先生語録
「お前の狙う所にコーンを針のように突き刺せ!」
とスラブチェクは俺に言った。

さて今回より不定期で、シークエンシャルオクルージョンについて書きたいと思います。
シークエンシャルって何よ?とか 知っている人は今更ですが、知らない人は知らない。
知らない人は、別に知らなくても困らない、と思っているから知らないんであって、
知らないと大変な事になるなら勉強します。
しかし、シークエンシャルオクルージョン(順次誘導咬合)何?って思っている技工士さんや
ああ、それ本で読んだことあるわ。何か面倒くさいやつな、とかいう方の頭に浮かぶのは
「それ、勉強して金になるの?」と言いたい人も居るんじゃないかと想像します。

日本人の美意識というか、精神性というか、「お金の事をいうのは、はしたない」とか
「金、かね、というもんじゃない」とか「医は仁術」だからしてその志は人を救うものだから
己の利益を追うものは邪道的な、、、(私が技工学校で教育されたのも「技工士も
医業の一端をになう者だからそれをくれぐれも忘れないように!」みたいな教えであるのに
それでいて日本の税金の職業分類では、技工は医業などでは全く無く製造業ですら無く
サービス業の扱いを受けているんですよね)
時の権力者によって都合良く思い込ませられることによって、その部分が思考停止状態に
なっていたり、いいように使われているだけとか思ったりしています。

ちょっと話がズレたんですが
例えば技工料金 1本3,000円のクラウンが、シークエンシャルですから1本10,000円です、とか
そう貰えるようになるのかい?と。
そんなわけないだろー、と自分も答えますが、いや、本当はそもそもそうならないと
おかしいぞ、とも言いたい!
人が休んでる日にも勉強会に出て、お金を払って知識を増やして技術を得て
そのノウハウが詰め込まれたクラウンを作るのにも余計に時間が加算されます。
ですから本当は高価で当然ですよね?

しかしそうはなってない、それは何故か?
実はこの辺の話は、自分的にはとても重要だと思っていて
知らなくても困らない、それどころか、何も勉強しないで作って安売りした方が
結果としてよほど効率が良くまた先生に受けることを、長年技工で飯を食ってきた来た人達は残念ながら認めざるを得ない、分かってしまっているのです。

素人さん(患者さん)や補綴を知らない先生は、シークエンシャル咬合の考えが詰め込まれた
技工物が”目に見える形”では分からない、”詰め込まれたノウハウ”が分からない。
実は分からなく問題無く機能するものが本物だから、ますます差が分からない。
ノウハウは見えないから理解できない。

日本では手間には価値を見出しますが(細かい細工や精巧に作られたものとか
見た目で凄いものとか)ノウハウや形の見えないサービスにはお金を払わない。

唯一ノウハウに価値を見出す(お金を払う)のは、それを習得することによって自分に利益があるであろうと考えた時、つまりセミナーに参加するときです。
セミナー以外の、製品そのものに詰め込まれた価値にお金を払わせるのは難しい。

長年かけて修行して、人に出来ないことを出来るようになったり、短時間であるレベルのものが出来るようになっても、その技術にはお金を払わない。
1時間で作れるんだからじゃあ1000円でとか、簡単そうにやってるから3000円でとか。
よく言われることですが、それを1時間で作れるようになる技術に価値を見出さない。

もう1度言いますが、この手の補綴物(技工物)に詰め込まれたノウハウや知識が、一見して理解される事がないので、勉強しても研修コースに参加しても、例えば1本の完成したクラウンを持って行ってそれを高く売ることが難しい。

難しいけれど、不可能ではないと思うのです。理解することが出来る人に売ればよいのです。
しかし理解することが出来るのは、それを勉強した先生や技工士だけです。
ですので、このようなのセミナーやグループの仕事を内々で回していく事になります。
患者さんも、先生がシークエンシャル咬合を臨床に取り入れているからという理由で、
わざわざその歯科医院を選んでやってくる訳ではないと思うのです。

一生懸命勉強していれば、それが結果として長年の間に実を結び、患者さんの評判を得ることになり、流行っていくという順序だと思います。

その一方で、見た目で分かるのが審美系です。
技工士が見ても、これは上手いなあとか、綺麗だなとか。
患者さんがみても、「あ、これならいいわ」とか「綺麗、満足」とか、審美は好みもありますが、見て分かる。
技工士が審美系に惹かれるのは、それを意識はしてないかもしれませんが、上記を含めて
そんな事情もあるような気がします。

一生懸命に勉強してそれを詰め込んだセラミックやクラウンを作っても、見た目分かりづらい咬合関係はその価値が理解されにくい。
しつこいですが、人は理解しないものに価値を見出さないし、つまりそれに対して
余計なお金を出さない。
シークエンシャル勉強しましたからお金下さい、って話にはなりにくい。
お金にならないなら、じゃあ勉強なんてしないでおくか!という順序が逆の発想にもなりかねない。

そういう話にならないためにもまず価値を理解してもらって、理解した人にこれを詰め込んだ補綴物を
欲しくなってもらって、それから供給する、という段階を踏まないとならないでしょうか。

患者さんが、自分の顎の調子が悪いのがどこに原因があるのか、を知ってくれて、
先生が、なぜか思ったように行っていないのか、修正すべきところに目を向けてくれて
初めて日の目を見るような技術かもしれません。

小難しいことを言っているようですが、我が技工業界で圧倒的に不足しているのが
この”見えないものに対する価値の説明”であり”理解させるためのノウハウ”だと思っています。
それはコミュニケーション能力であったりプレゼンであったり、トータルのブランディングであったりして
そのうえで「 宣伝に偽りなし 」的な結果が求められるものかと考えます。

この理解させるためのノウハウが無いばっかりに、「ゴールドだから高いんです」とか
「金属床だからいいんです」とか「セラミックで白いから最新で高いです」など、
患者さんの見た目に訴えるもの、材質の違いのみを価値創造として歯科業界で認知されて
来たしまったと思うのです。

総義歯でも同じです。
勉強して、咬合のノウハウ、辺縁の決め方、床の形態、などなど詰め込まれた、しかし金属床でないレジン床と、まったく勉強してない形だけそれっぽく見える金属床で、どちらに価値があるのか?
技工士ならそれは前者であることに異論はないはずですが、世間の評価はそうではない。
金属が使われた、薄く出来ちゃいました金属床に軍配が上がるのです。(もちろん、ノウハウが詰め込まれた金属床なら、そのほうがいいですよw)

まあ、ずいぶん脱線しちゃいましたけど、そんなことも交えながら書いていきたいと思います。まず最初に、色々と記してきましたが歯科界でお金をかけて勉強しても、即
経済的に効果が表れることはないにも関わらず、何故わたくしがあの”榊原デンタルラボの順次誘導咬合(シークエンシャル咬合)ワックスアップコース”に参加したのか、
その経緯から話していきたいと思います。

長くなったので次回に続きます。

 

 

 

 

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