ペクトンサミット講習会3

Design of zirconia inlay

CAM用ソフトMillboxでの設計

とっくに新年になった訳ですが、相変わらず更新が遅いです。
挫けずにパワーアップしていきたい所存です。

さて前回に続きペクトンについて リンクhttp://shiny-dentallabo.com/2018/12/29/pekk-workshop-dental-prosthesis-pekk-2/ 一気に書き上げていきます!

その前に実は前回のブログを読んだ友人から「あの書いてた”チタンベースとのエッジ(アクセルホール部とか)も緩やかに)”ってどの部分?」
との問い合わせを頂きましたのでお答えします。
実は私も会場のモニターで見た記憶なのではっきり断言出来ないのですがこれは
つまりチタンベース(タイベース)の咬合面側の先端の角を丸く落とせば良い話で
それは通常スキャナーで読み込ませやすいように、少しチタンベースの角を丸めて
あげればいい話なので、そのようにしていいんじゃないか?と友人にも答えました。

なるほど、自分としては分かっているものとして書いているつもりでも
読んでくれている人は案外と微妙に分からないんだよなー、と勉強になりました。
(おまえも分かってんの?とのご指摘もごもっともです)
それともう1つ書き忘れましたが、ペクトンはインゴットをプレスする専用機械が
あるのですが、巷では”デケマのファーネスでプレス行けるらしい”って話があって
今回の講習でも知り合いの技工士さんとの世間話で、朝方そんな話もしていたのですが
(結構そういう情報交換も大切なんですよ、ありがとうございます)
今回その話も出ていて、どうやらデケマのプレスは失敗も多いらしく、
中村先生の話だったか?ペクトンの軟化プレスは低温での温度管理がシビアで、(400度付近?)
20度高いだけで気泡、バブルが発生し、70度ぐらい高いと焦げた状態でプレスされるらしくデケマはその辺の温度管理がいまいちなので何度も試してはみたがお勧めはしない、
とのことですのでデケマでお試しの方は失敗を見越した納品日計画をお勧めしますw

前回は中村先生まで書きましたので,次は京都でご開業の歯科技工士の藤松剛先生です。
今回の講演は私がいつも思ってることなんですが、事前に講師間でどのような演題内容にするか主催の大信貿易さんからの割り当ては無く、たぶん当日に
インストラクターの先生方がお互いに当日の直前に打ち合わせしたのか、
もしくは自分の前の先生の講演を聞いて自分の発表内容を変更する、って感じで
プレゼンに慣れた先生方はそんな事を平気でやってるんですが、ホント感心するんですよね。

で、藤松先生は先に講演された先生方と被らない形の講演を余儀なくされたわけですが
CADCAMの現状とこれから始まるデータでのやり取りの先駆者として、
CADCAM初心者にも等しい私が聞くと「パラメーターいじる、って何?」みたいな
話をされていて、いやー先はまだまだ険しいな、、とちょっと凹んだんですよねw

確かにCAMソフトでのインレーなんかでは、オフセットが多めにしてあって
(辺縁の厚みです、ワックスみたいにピッタリの厚みにすると未焼結のジルコニアは
チップしてしまうので厚くしてあり、そのまま焼くとマージンに厚く段が出来ます)
それもソフトをご自身で書き換えるらしく、すごい知識だなあ・・とびっくり。
(私はインレーは削り上がってから、焼結前にシリコンホイールでギリギリまで
薄くしています。内面も形成のパターン、傾向によって当たりやすいところを
少しビビりながら焼結前に触っています、なかなか調整無しで適合まではいかない・・)

藤松先生は得意先の歯科医院ごとどころか、担当医師別にデータをとっていて
(デジタルデータでも医師ごとに差が出るらしい)模型無しで、データ受け
補綴物のみ納品って感じでやりながら、セットの状態のフィードバックを医院から頂き
そのデータ蓄積に余念がないとのことでした。

ペクトンの話では、見えずらい舌側側のペクトンを厚めにして、少しでもショックアブソーバーを生かすようなデザインにしており、ショックが従来の三分の一になるペクトンの優位性を確保するように努めているそうです。
デジタル印象においてもペクトンは優位にあり、口腔内スキャナーで読み取りやすく
ジルコニアクラウン+ペクトンアバットメントは相性が良いとされていました。

プレスでのペクトンについても、メーカーの推奨ではリン酸塩系の埋没材を推奨して
いるが、クリストバライトで問題なく使用でき、バリも無く適合も良いとの事でした。
(メタルリング使用)

休憩を挟んで最後にご登壇は、神奈川でご開業の歯科医師の橋村五郎先生とノーベルの
インストラクターでラボご開業の志田和浩先生のコラボ講義です。
お二人の講演は学術的というよりエンターテイメント性が強く感じられたのですが
(皆様ご存知の映像と音楽を駆使しながらのプレゼンです)その派手さの下地には
とてつもない地道な研鑽があるであろうことははっきりしており、よく言う
”優雅に泳いでいるように見える水鳥も、水面下では忙しく水かきを動かしている”
というのでしょうか・・ちょっと違うか?w
とても1時間程度の講演では語れることは限られており、結果あのようなプレゼンが
効果的だとの結論も納得ではあります。
橋村先生は臨床記録を写真とともに動画で残すようにしており、動画はごまかしが効かない事に優位性を見出しており、確かに時代的に動画でのアピールが効果的なんだろうなと
改めて思いました。
これからはこのような関係者(歯科医師、技工士、衛生士)だけで見られる前提ではなく
世の中の流れ的な?ユーチューブとか一般の人の目に触れる事も考えれば、
とても有効な広告手段だと考えることも出来るし、もちろんそれだけではない、自己主張 魂の発露と申しましょうか、色々考えさせられるんですよね。

プレゼンはオールオン4での補綴が主で、特にインプラントポジションを重要視され
順番としてはマテリアルを先に決定し、強度と審美を考え併せガイデッドサージェリー
でオペ、補綴はスクリューリテイン。少しのズレも許容しない綿密な計画をたてて
おりました。
プレゼンで見るだけだといかにも簡単に進むのですが、計画段階でのプロビジョナル制作や
ラジオグラフィックガイドのチェアーサイドでの修正、オペ後すぐにプロビの仕上げなど
いやこれは大変だなあ、、と見ているだけなのに気分的に疲れました。

とにかく大切なのは術前にどこまで詰められるかに勝負がかかっており、ダメなら戻る
の原則を厳しく守られておられるとの事。言うのは簡単なのですが一般にはともすれば、
「まあ何とかなるでしょ」とか「次、アポ決まってるから」「いついつまでに完成だから」とか「やり直しか・・これって請求どうしようか」とか、戻るの大変だし面倒だし、とか・・・・・皆さんも1つぐらい思い当たるふしがあるのではないでしょうか。
これは個々の人間の思いの他に、場面場面での患者含めたチーム全体の中での
力関係によって、”誰が主導権を握れるか”に関わる問題も含んでおり
私自身も過去にこれに関する失敗もしているので、考えさせられたんですよね。
また、話がズレましたw

そして志田先生は破折例も出しており、素材の強度とは別に色々な厳しい設計上の
制限の中で、どうやったら失敗を回避出来るかを橋村先生と一緒に考えていました。
大信さんのカタログに載っていた症例が、ペクトンの強度不足をジルコニアフレームで2次固定するタイプのものがあって、
見た時になるほどこれはいい設計だなあと思ったのですが、志田先生の上部構造は
全ての知識が詰め込まれた補綴なんですよね。

ペクトンについても他の先生同様の注意点を上げておられましたが、ペクトンは
すり減るので(耐摩耗性が低い)表面に使ってはいけない、また たわむので
たわみのある上部構造との組み合わせはだめです、とあらためて指摘していました。

年末の忙しい中での参加だったのですが、大変勉強になり
また大信の石本さんの口車に乗ってしまった、と行く前は思ったのですが感謝なのですw

以上で今回のペクトン講習会のレポートを終わります。
長々と読んでいただいた方ありがとうございました。

ではまた!

 

 

 

 

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