シークエンシャルオクルージョン4

Webinar Images Dr. Susumu Akimoto, orthodontist

ウェビナーの様子
質問に答える 矯正専門医 秋本進先生

3月末の土曜日の夜、シークエンシャルを中心にしつつ総合的な勉強をする会 SOSのウェビナーに参加させて頂きました。
今回は神奈川歯科大学矯正科の元教授 秋本先生の講義です。
まだまだ不勉強な矯正分野ですが色々と触発され それが、止まっていたブログを再開する良いきっかけになりました。

前回途中で止まっていたリンクを張ります。リンク https://shiny-dentallabo.com/2020/01/18/sequential-functional-guidance-occlusion-3/
このシリーズ?一番最初はこちら リンクhttps://shiny-dentallabo.com/2019/07/15/sequential-functional-guidance-occlusion-1/

ー ここから再開 ー

自分の街とはちょっと離れた矯正歯科医院は、奥さん情報によれば評判が良いとのことで
矯正で綺麗な歯並びになった従妹も そちらで治療したとの事でした。
臨床で結果を出し続けていると、患者が患者を呼ぶ、という好循環になる見本のような
歯科医院なのだろうな、と奥さんの話ぶりから分析しました。

今回はある意味、業界人でありながら さも素人臭を漂わせながら ”ご家族説明会”に
参加して質問しようという、プチ水戸黄門的な役どころで なかなか味わい深い。

奥さんから話があった通り、前回は印象したりや各種検査したりしてけっこう時間がかかった
との事で、今日は資料がそろった所での治療方針と説明、そしてその方針を受け入れるか、
疑問点の質問などに充てられる日らしく、本日のインフォームドコンセント料金は5万円。
それが高いのかどうか分かりませんが(業界人のくせに)
資料そろえて計画を練って、たぶん平行模型作ってセットアップまであるのかないのか・・
などなど、予想すると実際自分には矯正の料金相場は分からないのですが、
仕事の大変さを知っている身としては、妥当のようなイメージを持ちました・・・。

車で向かう行きすがら、また奥さんからの質問が始まります。
「 技工士やってるのに、何で矯正の事が分からないの? 」
「 いや、それは昨晩も説明した通り、今の仕事は専門化、分化が進んでいる。
それがスタンダードなわけだ!進歩ってのは専門化なんだ!医者だって専門化してるだろ。
内科の医者に眼科の事は分からない。だからしてオレに矯正が分からなくてもおかしくはない!」

「はぁあ?・・でも少なくとも私みたいな素人じゃないんだから、説明ぐらい出来るでしょ!」
「だから~・・昨日も言ったけど例えばだな・・じゃあこうしよう!
家を作る大工さんがいたとする。
で、家を作るのに大工さんだけで出来るかと言えばそうではない。
基礎を作る人がいて、電気屋さん、水道屋さん、建具、今は天井だって専門職だ!
電気屋さんは水道屋さんの仕事は知らない。それと同じで技工もセラミスト、デンチャー、
矯正とそれぞれ分化されているからして、他部門を詳しく知らなくてもおかしくない!」

と、まあちょっと誤魔化しつつも理論としては破綻してない、ちょっと力技ですが
自分としては至極当たり前の話をしたつもりなのですが、あっさり
「 言い訳じゃん! 」
の一言で一刀両断され、まあ客観的に見れば奥さんの言い分にもうなづける面もあり
総合的な知識のジェネラリストでありながら、得意分野があるスペシャリスト
というのが理想であり、本音は自分の勉強不足を恥じる部分もあるのであります。

しかし、このやろう~~・・と思ってしまう感情は抑える事が難しく
握るハンドルに更に力を込め、アクセルをグッ、っと踏み込み 速度計はびゅんと跳ね上がります。

会話も無くなった車内・・・ようやく今日、矯正専門医に聞いてみたい疑問点の整理を始めます。
一番の疑問点は” 4番抜歯は今後の健康において問題ないのか? ”
という事です。素人衆は安易に「 歯並びをキレイにしたい 」で、矯正だよね、ってことでそのためには( 審美のためには )歯を抜く行為も厭わない。もちろん担当の先生との信頼関係において口には出さないけれど、「 先生が間違った判断をするわけがない 」との前提にたって、抜歯を受け入れると思うのです。
しかしそもそも日本の歯科矯正の歴史の中で、4番抜歯で空いたスペースを利用して前歯群を内側に入れて歯並びを整えるというコンセプトは、せいぜい40~50年ぐらいではないでしょうか?(2021年現在)
その臨床経過を長いと見るか短いと見るかにもよりますが、良否の結果が出ているとは言い難いのではないでしょうか。

4番抜歯についてそれ程までに私がこだわるのは何故か、と申しますと
日々の臨床ケースにおいて、得意先の先生が
「 患者さんが噛みにくい、って言ってるので補綴したいのですが、これは何なんでしょうね ?」
と、スタディーモデルを手渡されます。
この手の相談のほとんどで、模型を拝見すると 4番が無い。

「 4番抜歯の矯正ですか?」
「 うちでやった患者さんじゃないんだけど、抜歯矯正したって言ってましたね 」
対合模型と咬み合わせてみると、咬合状態も良くない。
「 もう一人の人も調子悪いそうなんだよね 」
こちらの模型を見るとまた4番が無い。当然歯列アーチも小さい。

こうなってしまうと、これから出来ることも限られてくるのではないのか?
これを補綴でどうしろというのだろう?
口元は綺麗になっても、それ以外の健康的な生活に問題が出てくるのは問題ではないのか?
本当に必要だからあるべき歯の本数が決まっており、必要な場所に生え揃うのではないのか?
それぞれの歯に、それに相当した役割があり、そのために形態も全て違うのではないのか?

そんなこんなを考えながら、やっとその歯科医院の専門駐車場に車を乗り入れた訳です。

つづく・・・