シークエンシャルオクルージョン3

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2020年正月
地元の旧市街(香取市)

さてさて、完膚なきまでに叩きのめされた前回のような経緯がありながらも、(リンク)http://shiny-dentallabo.com/2019/08/09/sequential-functional-guidance-occlusion-2/
その勉強不足による自分に対する怒りのような感情も日ごとに薄れ、
またいつもの日常に戻っていきました。

自分のラボ内的には人が辞め、また細かい経緯は忘れましたが精神的にも落ち込み
アルバイトの手を借りながらもこなす量にも限界があり、納期が延び延びになり
徐々に仕事が減る、という悪循環に陥っていきました。

皆さんに経験があるかは分かりませんが、今思うと男の更年期的な?一種のプチ鬱状態。
何でこんなにやる気が出ないのだろうか?とそれさえも新たな悩みになるような状態でした。
状況的にはそんな中、家庭内である出来事がありました。

次女が「 矯正をやりたい 」と言い出したのです。
正確には次女が言い出したというよりも、ウチの奥さんが日頃から
「〇〇の歯、ちょっと出てない?」と言っていたのです。で、自分の感覚とすれば
「まあ、少しは出てるかもしれないけどそれ程でもない。おかしく無いよ」と話していました。

しかし奥さんとすれば、 自分の子供の成長に対してぜんぜん関心がないの?、と怒り
よそのお父さんはもっと家庭的だ、とか 育メンパパ?アピールの芸能人をテレビでみて
これ見よがしな喝采を送ったりとか、まあ休日も仕事や講習会でほとんど家族サービスなど無い
私の日常おこないの悪い部分も多分にありますが、こちらとしても「遊んでるわけじゃないんだぞ」
的な、開き直りもあったりして( 冷静に考えれば人生の優先順位の思考回路もおかしいよな )
しかし、事はもはや歯並び矯正とは関わりのない部分にまでバトルが広がっており
もはやそのままにしておく訳にも行かない状況です。

しばらくそんな事がありながらも過ごしてきた訳ですが、そんな折、
いつも一緒に遊んでいる同級の従妹が矯正をしていて、歯並びが綺麗になったのです。
で、次女本人も「私もやりたい」と。
その後いろいろ経緯はあったのですが、自分的には忙しく歯科医院までの送迎も出来ないし
奥さんに任せっきりなのに、あーだこーだと口だけ出す事も出来ず上記の経緯もあり
私の得意先の先生に依頼することもあえてせずに、じゃ好きなようにして下さいな、的な
気まずい雰囲気のままその後数週間過ぎていったのです。

ある日の夜 奥さんが「 矯正の事なんだけど・・・」と話を始めました。
聞いてみると「 上下の歯4本、抜くらしいんだよね 」と。
「それで?」
「それってどうなの?」

私は黙り、考えこみました。
それってどうなの?という短い問いかけの中に、自分の旦那が歯科技工で生きてきたその専門性を、素人である奥さんが「本当にその判断(歯を4本抜く)は正しいのか?(娘のために)」という
真正面からの問いかけを行っている。
そしてそれに対して、今までの歯科知識を総動員して答えなければならないという状況なのです。

抜いたものは戻らない。削ったものも戻らない。
当たり前の話の中で、それがいざ自分の大切な家族のものとして考える時に、相手の都合でなく
本人の気持ちでもなく、ましてや商売上の都合でなくベストな選択の可能性を提示してあげたい。
もちろん、いい歳をした大人であるので世の中が正しいことのみで回っているなどという
錯覚も無いわけですが、まれに表れる ”ホワイト自分” が現れました。

矯正についてはほとんど知識のない自分。しかし歯科雑誌などの文献で読んで覚えている事の中に
4番抜歯ははたして良いのか、という疑問符が大きく刻み込まれておりました。
確かに前歯部の歯並びを整える上で、骨格が変わらないのであるなら4番抜歯でスペースをかせぎ
前歯群を内側に引っ込める、というのは前歯の審美、患者の要求に答えるには一番効率が良いでしょう。
しかし、本当にそれが将来にわたる患者の健康にとって良いものなのか。
程度にもよりますが、それが本当に審美と引き換えに得られ、それと同時に失われてよいものなのか。

色々考えても仕方ない。分からない事は専門家に聞いてみよう、とばかり数日後、
「 めずらしいじゃん 」という嫌味ともとれる言葉とともに、私は身分を隠しwその矯正歯科医院の”ご家族説明会”に家族3人で出席したのでした。

つづく・・

 

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