CAM機メインテナンスの日に考えた事

CAM machine DWX51D

保守専用ソフトで作業中

ローランドさんと年間保守契約しているので、先日CAM機の保守点検をして頂きました。
まあ、こんなものが壊れでもしたら、もちろん自分では直せない。
納期、スケジュール、すべて自分のラボで加工する前提で動いているので
こういった点検日には、”もし加工中に壊れたらどうしようか” とか”やっぱ2台いるのだろうか?”
などと日頃は考えたくもない自問自答をしたりして、いかに危機管理が出来ていないかを
痛感するところであります。

昔の技工機械ならフタを開ければ何とかなる場合も多かったのですが、デジタル機器はムリ。
自分は最初からあきらめモードなわけで、メーカーもここぞとばかり有償保守点検を売り込みます。
「スピンドル逝っちゃったら、高いですよ?」とか
「保守入ってないと不具合起きてもしりまへんで!」とか
「もちろん修理はしますけど、保守契約してるラボが優先です!!」とか

壊れないまでも動かなくなったら自力ではお手上げ状態のわたくしは
上記の丁寧な脅し文句に抵抗するすべもなく、年間19万以上の保守サポートに入るわけです。
(CAMソフトのサポートは別。ちなみに年間12万だったかな。CADはまた別、年間20万弱)
私の場合、CADCAMの保守サポート、ソフト更新で年間52万以上を、機械のローン、
償却とは別に支払っていることになります。

若手の技工士が居ない、すぐ辞めてしまう状況が常態化している我が業界において
機械に代わりに仕事をしてもらう部分を増やすことでしか、(人が増えないのならば)
現状を乗り切る方法はありません。
人件費の代わりに保守サポート、ソフト更新がかかると考えるなら、疲れたとか休みたい
とか残業代下さいとか言わない機械は、長時間稼働させればさせる程お得です。

メンテ作業中のNさんに、「他にどんな機械のメンテをしてるんですか?」と聞くと
「ローランドではプリンターですね。プリンターといっても家庭用のじゃなくて
業務用の、何にでもプリントできるヤツとかですね。」へー、と聞き入ると

「ちょっと前にはスマホのケースなんかに独自のデザインを印刷するのが流行って
2~300万の機械なんですけど、あっという間に元が取れて人気でしたよ」
「そうなんですか!ちなみにどんな感じの値段設定なんですか?」

「スマホのケースそのものの原価は100円ぐらいらしいですが、それにプリントして
1個2~3,000円で売るんです。ほとんど儲けですね。あ、インクは専用でそれなり高いですけど」
「はー、凄いですね。ウチなんてCAM機がちょっと余裕かましてるんで、もうちょっと
働かせないとですね、、、。CAM機で何か別のモノ作ろうかな、、笑」と言うと、

「そもそもこのDWXの前身は、ジュエリー業界で使っていたJWXっていう機種なんですよ。
海外でそれを作っていて、歯科に応用出来ないか?行けるんじゃないか?というのが最初です」
はー、とか へー、とか間抜けな受け答えしか出来ないのですが、やはり聞いてみると面白い。

ジュエリーのワックスパターンは、余程のオーダーメイド、オリジナルデザインでもない限り
数多く同じものを作るから機械化のメリットは大きいし、オペレーターも素人でもよい気がする。
技工の場合はデザインが全て違うから、今のところ素人には難しいしそもそも法律違反である。
上記のスマホケースと技工の補綴物製作の手間と機械代金、そして売値、専門性を
考えあわせ比較するとどうなるか?

2~3,000円と言えば、ちょうど保険のクラウンの料金と似ている。
これはもう、技工士であるならば考えるのも嫌になる脱力感。
プリントが儲けているというより、歯科補綴物の料金が情けないですよ、と思うがどうだろう?

原価経費を積算で積み重ねていくべき料金設定を、いかにも日本的に雰囲気を読み
周囲に合わせることで生き残ってきた自分も周りの技工士も、ただ責めることは出来ないけれども
もう少し何とかならなかったのかと、反省の日々ではあるのですが嘆くばかりでは始まらない。

ここで冷静に考えれば、いくら”医療である” と声高に叫んでも同じコンセプトから生まれた機械に
同じような作業をさせているのを考えれば、もっともやらなければならないのは、技工物の均一化。
つまり今までの1個1個手作りです、という考えをある部分では捨てて、同じものを作り
その上に個性というレイヤーを重ねて行く(そこは別料金)という発想が
CADCAMデジタル化の正解のように思う。

ところで、仕事の早い技工士のやり方を観察して見てみると、1つ1つ違う形の補綴物の作業過程において
その人なりに作業を細分化し、同じパターンで作業を均一化している。例えば形態修正ひとつとっても
”このぐらいの形態なら、このポイントを使って当てる角度はこの角度。で何回かに分けて、このリズムで削る”
というルーティンワークが出来上がっている。
( そういえば上手い技工士のエンジンの切削音は皆似ていますね )

個人レベルから大型ラボレベルに入っていけば、そこは当然流れ作業という形態をとっていく。
同じ人物が同じ作業のみを受け持つわけだから、品質もスピードも向上する。
ただ、社長さん達に伺うと、流れ作業は技工士から ”やりがい” を取り上げることになり
抵抗にあうことが多いそうです。

やりがいを取るか、お金や時間を取るか。
顧客のこだわりに応えて、技工士は相応の見返りは貰えるのか。
それら全ての条件と、そのバランスはどこにあるのか。

もの作りとしての技工はそこそこ面白いため、個人ラボにおいては条件は厳しくても
文句を言いながらも続けている方も多いと思います。
あれもこれもと欲を出せばキリがないけど、程よい条件でやっていきたいですね。 笑

 

 

 

 

 

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