ペクトンのメインテナンスどうしてる?ペクトン:4

Made by Pecton Dental prosthesis

ペクトンフレーム
& セミカスタムチタンベース(舌側面観)

 

ペクトンを臨床に使ってみて、製作者の立場としては ”利点が実感しづらい素材だなあ”
というのが正直なところです。
患者さんで、セラミック補綴物の上下がすでに入っていて「カチカチ音がするのが嫌だった」と
いう人がいて、確かにペクトンに変えると「音がしなくなっていい」とおっしゃり、ああ
ショックを吸収してるんだな、と思うのですが「噛み心地良いですか?」と聞くと
少し考えてから「 ん~、そんな気もするし実際は分からない」とおっしゃいます。

まあ、嫌な感じがしないという事はまあ良いんじゃないか?ともいえるのですが
もうちょっと違いを実感してもらえないと、他の先生にも勧めづらい。
パーツが増えるから技工料の総額も上がってしまうし、材料費自体も安くない。
それなのに素材そのもののチープ感はやや高めw 適当な事言って営業するわけにもいかない。

というような話を同業者、それも商売が上手な社長さんに話してみると
「その素材が良かろうが悪かろうが関係ないんだよ。新しいものを使って常に
売り込む道具として使うんだよ。正直に良いの悪いのと言ってるからダメなんだよ」
などとお叱りを受けたり、分かってないヤツ!のレッテルを張られたりで(レッテルだらけ)
つくづく商売には向いてないなあ・・・などとちょっとヘコむのですが
商売がしたいなら商人になったらいいんじゃないか?オレは技工士だしな!
と悔し紛れに自分を納得させながら、いばらの道を進む訳です。

しかしやっぱり基本としては”自分の身内に入れようって気にならない補綴物は作らない”
(ようにしたいな~、って願望含むw)なので、常に”これは本当はどうなの?”って
視点は大事にしておりますが、ペクトンはまあ有りかな、と現時点では思っています。

特にインプラントの上部構造で問題になって来る、咬合時の側方への力。
これがインプラントのマイクロムーブメントをより強くして、インプラント周囲炎の
原因の一つにもなっているようなんですが、臨床では理想的な埋入位置、角度でないことも多いし、骨の状態や量も理想的とは言い難い事も多い。

そんな時、上部構造に想定外の力が加わることはもちろんあるし、上記のような理由で
力のベクトルがコントロールしずらい。
それで咬合の与え方を、シークエンシャルとか取り入れても限界はあったのだけれど
(てか、無理やりなケースなんかはデンチャーの咬合様式を使う事もある)
ペクトンのショックアブソーバー、クッション機能が使える可能性が出てきた事で、
もう一つ安全オプションが増えたと言って良いと思うんですよね。

ひとまずそれは置いておいて、セミナーなどに行って講師陣の「いいですよ!」
「うちはこれがメインになっています」などと聞くたびに、その発言を信用すれば
”なんでそんなに売れるのか?”ウチとどこが違うんだろうか?と首をかしげることも多いのですが、
やはりあれは”自信をもって思い込むパワー”の賜物なのだろーな、と
上記の社長の言葉と合わせて、結論づけるわけです。

何かの本で読んだか?ですが、『自動車の営業マンが、自社の車が交通事故で人を殺す道具だ』
と思い疑いながら売り込むなら売れるわけがない。自信をもって、『人の役にたつものだ』
と思い、売る営業マンとどちらが良い業績をあげるでしょうか、、という話があるので
それと同じかもしれませんね。要は気合ですw

それでもなんとか徐々にケースもこなして来ると、細かい所の疑問も出て来ます。
ペクトンは、メーカーはなんだかんだとメリットを挙げますが、制作してみれば
ただのプラスチックに思えなくもない。プラスチックみたいなので、固いものでこすると
傷がつきやすい。万が一にも金属のスケーラーなんて使ったら傷だらけです。
で、問題になってくるのがメインテナンスです。

販売元の大信貿易さんは、インプラントのメインテナンスに使用するスケーラー
リンクhttps://www.daishintrading.co.jp/user_data/maintenance_category.php
でPeek製のチップをペクトンでも使用して下さい、とアナウンスしていて
自分も先生にその旨を説明するのですが、説明の仕方が悪いのか、市井の技工士の話など
聞き流しているのか、一向に買おうとする気配のない方もいる。
同じ話であるのにやっぱり権威筋の先生からの話でないと、聞く耳を持たないのかもしれない。

まあ、やることが多い先生はメンテは衛生士さん任せ、補綴は技工士まかせ、
メンテしやすいように作って来るのが技工士でしょ、俺の仕事をこれ以上増やしてくれるな、
と思うのも当然かもしれない。

それで大信さんの営業に「みんなペクトンのメンテはどうしてんの?」と聞くと
「そういえばメインテナンスの事聞いた人いませんねー、講習でも言わないしw」と。
そして「関山さん、ほとんどインプラントでしょ?じゃあスターチップですよ」と
カタログを置く訳です。
「おいおい、オレが先生に営業すんのかよwペクトン売りたいなら先生にメンテの事も説明してよな、、
大体が怠慢だぞ、キミ達はいつも技工士に先に売ろうとするから気に食わないね!」
と言いながらも、カタログを数部預り、先生に渡す段取りをつけると、
「あ、ちなみにコレ、セミナー受けないと買えないんですよ・・」とおっしゃります。

なんだよそれ、売る気あるのかよ・・・ いえ、普通のスケーラーと扱いが違うらしくて・・
それじゃあ先生に勧めづらいじゃんよ、値段も高いし・・いえ、関山さん!そこが差別化ですよ!
先生にもメリットがあるんですよ。他医院でやってないメンテをやることによって患者さんに
満足感を与えるんですよ!・・・それは先生に言ってくれよ・・いや、先生もヒマじゃないんで
ボクの話なんて聞いてくれないんですよ・・だからってここぞとばかりオレに売り込むな!・・
というようなしょーもないコントが繰り広げられるわけです。

営業さんの言いたいことも分かる。しかし先生のめんどくせえな、、という気持ちも分かる。
それに患者さんが引っ越したり別の医院に変えた時に、それがペクトンであるという事が
分からないでメンテを受けることも当然ある。
補綴物ごとにメインテナンスの器具が変わったり方法が変わるのでは正直に不便である。
なので、そこはやっぱり技工士が忖度して(この忖度は良い忖度w)ストレスなくメンテ
出来るように作る方がよいのではないか、と思う。

それにメインテナンスは患者さん自身の日々のブラッシングが基本。
ペクトンに固めの歯ブラシを真横に動かすようなやり方でブラッシングして
長期間経った時はたしてどうなっているのか?
傷や凹みが出来てしまって最悪、歯肉縁下にその部分があるのはマズいのではないか。

結果として、以前は歯肉縁下にもペクトンを持ってきて、その厚みで
ショックアブソーバー機能を最大化させようと思っていたのですが、歯肉縁下の部分は
カフ長を変えたセミカスタムのチタンベースのほうがいいんじゃないの?と思い
最近はページ先頭のような写真になっている次第です。
まあ、ユニバーサルメインテナンスタイプとでも申しましょうか。。。

それ違うわ!って方、居られましたらフェイスブックにご意見伺えたら幸いです笑

ではまた!