赤信号を渡る時は・・
急いでいる時、このひと時が無駄だと思う時、悪い事だとは思うけど
赤信号を無視して短い歩道を渡るときありますよね・・
例えとしてはよくないですかね?
フェイスブックでのやり取りの中で、ドイツで活躍されている可児先生が(リンク)https://www.facebook.com/Organ-Dental-Technology-Hamburg-1538995049696430/
「さほど効果のないケースなのにスタビライザーを付けてシンタリングするのは、材料の無駄で作業効率を下げているだけ・・」という書き込みがあって、自分は今までただただ
マニュアル通り、サポートに聞いた通りにやってきたので(CADCAM経験が長い訳でもない) え!そうなの?・・と言うのが正直な感想だったし、でも考えてみれば
あのスタビライザーを付ける事が変形を防止するのに必要だと、半ば妄信的に
信用してきただけの話で、はたしてそれが真実かどうかは分からない。
そもそも外注でジルコニアフレームを出し始めたのが15年?ぐらい前。
スタビライザー神話は、その頃まことしやかに言われていたというか、絶対にペアで
納品されてきたので当たり前だと思い込んでいた。
しかし冷静に考えてみれば、あの頃のロングスパンのジルコニアフレームの適合の悪さ
は当たり前だったのが、今自分レベルの個人ラボでもはるかに精度は上がっている。
(15年前、名古屋のノリタケさんにセレックを見学に行ったり、大阪のパナヘラウス?だっけに見学に行って、あの冷蔵庫みたいなCAM機で削り出されたロングスパンの
適合の悪さに内心がっかりした遠い昔・・・一番適合良かったのが、
大信さんがシンガポール?かどこかで削ってくれたフルマウスでした)
今サポートに聞くと「うちでは3本ブリッジくらいからスタビライザー付けてます」
との事だったので、まあ毎日数多くのケースをこなすセンターがそうなのだったら
やっぱし2連結ぐらいがギリなのかな~、と判断していたのです。
しかし最初の可児先生の意見を考えると確かにあのスタビライザーを付ける事で
1,5倍ほど材料が多く必要になり(無駄になり)また、加工機で削る時間が多くなり
バーが消費され、その前にスタビライザーのデザインに余計な時間がかかって
作業効率、生産性を悪くしているのは確かであるのです。
で、本当に問題無いのであれば、誰でもスタビライザーなど付けたくはない。
しかしここで問題になって来るのが、上手い人が問題なくても下手っぴが真似すると
問題になってくるケースです。(無駄に経験だけは長いのでこの辺の嗅覚は鋭いw)
鉄は熱いうちに打て!ではないのですが、丁度デザインしていたケースが試すには
丁度いいケースだったのでフェイスブックに写真を上げた訳です。(冒頭の写真)
するとありがたい事に可児先生からまた新しいアドバイスが入ってまいりました。
「咬合面を下にして、かつ咬合面全体にビーズが支えられているように」とのコメントです。そして私のケースの写真を見て下さって「アクセスホールにビーズが嵌らないように、ビーズの大きさに気を配るように」とのアドバイスでした。
ここまで読んで、なるほど上手にやっている方はただ単に「大丈夫じゃね?」とか
「平気じゃね?行けるんじゃね?この前うまくいったし!」などと適当にやって
いるのではなく細かい配慮が見えて来るのです。
この細かい配慮こそがトラブルなく上手くいく条件の一つなのでしょう。
つまり赤信号を無視して渡るには、左右を確認し、車が見えるのか見えないのか
見通しが悪ければ渡ってよいものか、車が遠くから走ってくるけどそのスピードは
渡りきるまでに自分に到達しないのか、足元は悪くないか、脚力に問題はないか、
お巡りさんは見ていないか、小さい子供が見ていないか!w などなど
一瞬のうちに判断して信号無視するのです。
一つ一つは「当たり前じゃん」とつまらない事のように思うでしょうが
その”つまらない事”を深く考え、リスクになりそうな事を一つずつ外していく、
一歩引いた目で検討することが重要だと考えます。
スタビライザー外し一つ取っても、上手くやっている人は細かい気遣い、配慮を
欠かさず設計、作業しますが、人の又聞きなどで誰かが「スタビライザー無しで問題ない
らしいよ」と言って簡単に真に受けてやると失敗したときにその原因が分からず
もうこりごり、というような事になると思います。
で、肝心の今回の結果なのですが
調整無しで適合しています。
まあ、この程度の大きさなら適合して当然というご意見もあるでしょうが
少しずつ大きめのものにも挑戦していこうと思います。