その時私は空気になった(シークエンシャルオクルージョン2)

 

Cephalometric analysis

シークエンシャルワックスアップコースでの
自分自身のセファロ分析

矯正なんて分からなくて問題無い、と思ってここまで来てしまいました。
まあ、そんな技工士さんも多いかな?と思いますので読んで少しでもためになるように
書きたいと思っています。
シークエンシャルは咬合だろ?それがいきなり矯正って何だよ!と思われた方もいると
思いますが、まあ実際自分もそう思っていたのですがちょっと聞いてください。

シークエンシャルオクルージョンとはオーストリア、ウィーン大学のスラブチェク教授が
提唱された、順次誘導咬合という咬合論です。
スカンジナビア派とかも言われていて、スカンジナビアって北欧だろ?何でドイツより南の
オーストリアがスカンジナビア派なのか、よく分からないのですがそういう事になっているようです。(そのあたりもはっきり言って無知です)

そもそもシークエンシャルオクルージョンというのを知ったのが、歯科技工かクインテッセンスか忘れましたが
技工雑誌で読んだのが始まりです。20年以上前にはなるのかもしれません。
当初パラパラと飛ばし読みして読んだ時に感じたのは、グループファンクションとどこが違うのか?でした。
当時、純粋な?ミューチアリープトテクテッドオクルージョン(犬歯誘導咬合)よりも、
グループファンクションの方が、何となく普段の臨床では使い勝手がいいような気がしていた程度で、それで普段困るような事もなく、あまり必要性も感じませんでした。

正直なところ、普通のことをさも難しそうに言っているだけのような雰囲気も受け
(顆路とか運動方向とか必要最小限でいいや、と思っていた)自分的に食いつきもよくありませんでした。

当時はコーヌスクローネが全盛期から少し下火になって、アタッチメントとかに行って、
同時にIMG?インプラントやブローネマルク、ITIとかが盛んになってた頃です。

そして審美がどんどん出てきていて流行っていて(流行りというのもおかしいと思うのですが、)
これからは審美、審美にあらずば歯科にあらず、みたいな雰囲気もあり、
そっち方面の勉強ばかりしていました。

そういった仕事に流され20年 ← 長い!
今思えば、あれも転機だったんだな、と思う出来事がありました。
それが今から8年ぐらい前の話です。

インプラントの勉強会でお世話になっている先生が、また別の勉強会に参加されていて、
(歯科医師先生方のシークエンシャルなど含む矯正勉強会)どういった経緯かは忘れましたが、確か私が「参加させて!」と頼みこんだんです。

書いていて思い出しましたが、ある日のインプラントの勉強会での事、
そのS先生がプレゼンされた内容が素晴らしく、簡単そうに話されている、
立て板に水のごとく話す内容が、勉強会に参加されている先生方のおそらく数人にしか
理解不能で、まさに圧倒的な一人舞台。
それがキャディアックスデータに裏付けられた、ケースプレゼンだったのですw

中々そういう圧倒的な差を見せつけるプレゼンというのも、ありそうで無く
そんな経緯もあり、「 1度来てみる?」とのお話を頂き平日の夜に
横浜までノコノコと出かけていったのです。

あまり土地勘もない夜の横浜駅に降り立ち、それでも方向音痴ではないのですぐに
目的の歯科医院を探し当てました。
しかし、ドアに鍵がかかっておりブラインドも降りていて入れない。
うっすらと電気はついているものの、中に人がいるのかどうかさえ分からず
開けゴマ!とか言うのかな・・?ってドアの前で数秒思案していると中から
「ガチャ!」と人が出てきました。ラッキーw

「勉強会に来たんですけど・・」というとそのすぐ後ろにS先生が!
「ああ、入って・・・」と感心なさげにおっしゃいます。
「先生、入り方わかんないですよ教えといて下さいよ!」
「ピンポンあるでしょ・・ああ、見えないか・・・」
かくして秘密基地めいた歯科医院のセミナールームに潜入したわけです。

何だか歯科医院っぽくない部屋の中の椅子や調度品も、なんというかロココ調?
趣味の良いもので固められております。
待ち時間もほとんど無く、20名ほどの先生方が奥の部屋へしずしずと進んでいきます。

2人座りの長机がズラリと並べられ、そこでいきなり始まったのがセファロ分析。
まるで学生時代のテストの様相です。
え・・・何コレ?分かんねえよ・・・ちらっと講師と化しているS先生を見上げるも
、涼しい顔でガン無視!w
今まで矯正とか全く知識も無く感心も薄す薄すで、わずかに分かるのはオルビタ(眼窩下点)と
RP(リファレンスポイント)のみ。
ただただうつむいて三角定規を見つめ、30分を過ぎる頃には私は完全に気配を消し
空気と同化しておりました。
例えて言えば、素人が格闘技経験者に向かって行って、何もせずにただ締め落とされた
だけという体たらく。

前知識も仕入れずに参加したことは棚に上げ、何も分からなかった事が悔しくて悔しくて
ちくしょーー今に見てろよ・・・などと思いながらも、しかし日々の技工に流され3日たち1週間が過ぎ、またしても5年ほど経過したのでした・・・ ← 長げーよ。

今思えばもしかしたら勉強会主催の先生は、こうやって個人のやる気を喚起するというか、
型にはめるという一種の技術なのかもしれません・・・
教える、の本質は本人にやる気を出させる事だからです。

続く・・・(^_^;)

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